竹の香りと、くるくる回りながら空にのぼる小さな羽。
たったそれだけで、夕方の空き地は、子どもたちの場所になりました。
竹とんぼは、派手さはありませんが、手と心がそろうと、ちゃんと応えてくれる昔遊びです。
忙しい毎日の中でも、短い時間で「集中」と「満足」を味わえるところが、今の暮らしにも合います。
家族や先生がそばにいて、見守りながら一緒に試すだけで、遊びが学びに変わっていきます。
昔遊びの意味・特徴

竹とんぼは、竹で作った小さなおもちゃを、手で回して空に飛ばす遊びです。
羽と棒だけの、たいへんシンプルな形をしています。
形が単純だからこそ、少しの違いが結果に表れます。
羽の長さや厚み、しなり具合によって、飛び方が変わります。
同じように見えても、実際に回してみると違いに気づきます。
遊び方に細かい決まりはなく、自分なりに工夫できるところが特徴です。
強く回せばよいという遊びではありません。
自分の手の感覚に意識を向けることが大切になります。
自分で作り、自分の力で飛ばすところが一番のおもしろさです。
力いっぱい回せばよいわけではなく、やさしい動きが大切になります。
うまく飛ぶと、何度でもやりたくなります。
失敗しても、どこが悪かったのかを考え、直してまた挑戦できます。
工夫すればよくなるところが、この遊びの大切なところです。
結果だけでなく、試す過程そのものを楽しめます。
大人が完成品を与える遊びとは違い、過程に価値があります。
そのため、年齢や経験に応じた楽しみ方が自然と生まれます。
竹とんぼの魅力は、「ちょっとした調整」がそのまま「目に見える変化」になるところにもあります。
羽の左右が少し違うだけで、飛んだ瞬間に曲がってしまいます。
軸が持ちにくいだけで、回転が安定しません。
つまり、子どもが自分で原因を見つけやすい遊びです。
大人が答えをすぐに言わなくても、観察と試行錯誤で前に進めます。
また、竹とんぼは「競争が中心になりにくい」遊びでもあります。
もちろん高く飛ばしたい気持ちは生まれます。
ただ、毎回同じ条件にならないため、結果だけで勝ち負けが決まりません。
風の向き、手の状態、回し方のわずかな違いが影響します。
だからこそ、子ども同士でも「どうやったの」「羽が違うね」と工夫に目が向きやすくなります。
遊びの由来・背景
竹とんぼは、日本の各地で昔から遊ばれてきました。
山や里の近くでは、竹はとても身近な材料でした。
家の裏や道ばたに竹林があり、材料に困ることはありませんでした。

子どもたちは、折れた竹や余った竹を使って、おもちゃを作っていました。
大人が使った残り物が、子どもの遊び道具になることもありました。
お金を使わず、知恵と工夫で遊ぶ文化の中で生まれた遊びです。
学校が終わったあとや、農作業の合間など、短い時間でも楽しめました。
夕方の少しの時間でも、満足できる遊びでした。
大人から子どもへ、作り方や飛ばし方が自然に伝えられてきました。
言葉だけでなく、見てまねをすることで覚えていく遊びでした。
教える人も、教えられる人も、肩ひじ張らずに関われました。
暮らしの中に溶け込んだ遊びだったことが分かります。
地域ごとに形や呼び方が少し違うこともあります。
その土地の材料や暮らし方が、遊びに反映されていました。
昔の暮らしでは、竹は「生活の道具」でもありました。
ざるやかご、物干し、囲いなど、竹を使う場面はたくさんありました。
子どもたちは大人の仕事をすぐそばで見ていました。
その中で、削る音や香り、しなりを体で覚えていきました。
竹とんぼは、そうした生活の感覚から自然に生まれた遊びとも言えます。
現代の子どもは、完成品に囲まれて育ちます。
ボタンを押せば動くおもちゃが当たり前になっています。
その一方で、竹とんぼは「自分の手の動き」がそのまま結果になります。
だからこそ、日常では得にくい感覚が育ちます。
作ることと遊ぶことが分かれていない点も、昔遊びらしい特徴です。
基本の遊び方
まず、竹とんぼを作るための道具を用意します。
必要なのは、竹、はさみや小刀、大人の手です。
竹はまっすぐで、ひびの少ないものを選びます。
節の位置によって、硬さや割れやすさが変わることもあります。
曲がりが少ないほうが、飛びやすくなります。
低年齢の子どもがいる場合は、必ず大人が作業をします。
子どもには、そばで見せる形にします。
見ているだけでも、作る流れが伝わります。
竹を小さく切り、羽の形を作ります。
羽は左右が同じ大きさになるようにします。
少しでも形が違うと、回ったときにぶれが出ます。
初心者は、まず同じ形を目指します。
軸になる部分をしっかり持てるように整えます。
持ちにくいと、うまく回せません。
角がとがらないよう、やすりや紙でなめらかにします。
手に当たっても痛くない形を目指します。
安全を意識した形づくりが大切です。
作り終わったら、両手で軸をはさみます。
手のひらをすり合わせるようにして、くるっと回します。
このとき、強く押さえすぎないようにします。
指と手のひらが自然に動くのが理想です。
まっすぐ上に向けて放すと、空にのぼります。
最初は低くても、きれいに回れば十分です。
回り方が安定しているかを見てあげます。
高さよりも、回転の様子に目を向けます。
風の影響を受けやすいことも、実際に体験できます。
ここからは、初心者が安心して取り組めるように、作る場面と飛ばす場面の「手順のコツ」を補足します。
作る場面では、まず「左右をそろえる」ことが一番の近道になります。
羽の左右がそろっていると、回転が安定しやすくなります。
逆に、左右が少しでも違うと、回した瞬間にぶれて、飛ぶ前から失速しやすくなります。
「左右をそろえるために、型紙のように当てて比べる」という工夫も役に立ちます。
紙に羽の形を描いて、上に置いて比べるだけでも十分です。
飛ばす場面では、「放す方向」が重要になります。
まっすぐ上を意識しても、手首が内側に入ると、斜めに飛び出します。
最初は高く飛ばそうとしなくても大丈夫です。
低い高さでも、回転がきれいに見えるほうが、上達が早くなります。
飛んだあとに落ちる場所まで目で追うと、風や回転の違いに気づきやすくなります。
初心者がつまずきやすい点
力を入れすぎてしまうことがあります。
強く回そうとして、指の動きが止まってしまうこともあります。
羽の向きを逆に持ってしまうことがあります。
左右の羽の違いに気づかないこともあります。
うまく飛ばないと、すぐにあきらめてしまうこともあります。
大人は結果を急がず、動きそのものを認めます。
一度でできなくて当たり前だと伝えます。
回せたことや、工夫したことに目を向けます。
失敗した理由を一緒に考える時間も大切です。
ここでは、よくある「勘違い」と「迷いやすいポイント」をもう少し具体的に整理します。
・強くこすれば高く飛ぶと思いがちです。
実際には、強さよりも回転の安定が大切です。
- 手のひらでぎゅっと押さえすぎることがあります。
押さえすぎると摩擦が増えて、回転が止まりやすくなります。 - 回す前から上に向けすぎてしまうことがあります。
最初は胸の前あたりで回して、回転が出てから放すほうが安定します。 - 放すときに腕まで一緒に振ってしまうことがあります。
腕の動きが大きいと、方向がぶれやすくなります。 - 羽の左右を見分けずに持ってしまうことがあります。
- 手に持つ前に、羽を横から見て、左右の高さが同じか確認すると安心です。
失敗が続くと、子どもは「自分はできない」と感じることがあります。
この遊びは、少しの違いが結果に出るぶん、できない理由がはっきり出ます。
だからこそ、大人が「どこが悪い」と決めつけないことが大切です。
「今日は風があるね」「回転が前より長くなったね」と、状況や変化を言葉にします。
子どもは「できた・できない」だけでなく、「前と違う」に気づきやすくなります。
家庭での遊びの場面

庭や公園など、見通しのよい場所が向いています。
周囲に人や物が少ない場所を選びます。
地面がやわらかい場所だと、落ちても壊れにくくなります。
祖父母が見本を見せ、子どもがまねをする形もよいです。
世代の違う大人が関わることで、会話が広がります。
一度でうまくいかなくても、繰り返すうちに形になってきます。
うまくいったところを言葉にして伝えると、次につながります。
家族で順番に飛ばすと、自然と会話が生まれます。
短い時間でも満足感が得られるのも特徴です。
学校の休み時間や、放課後の活動にも取り入れやすい遊びです。
家庭で取り入れるときは、「時間の切り方」を決めておくと続けやすくなります。
竹とんぼは集中が高まりやすい遊びですが、手も疲れます。
例えば、夕方の10分だけと決めると、気持ちよく終われます。
長くやらせようとすると、疲れと飽きが先に来ることがあります。
短い時間を何回か重ねるほうが、上達も思い出も残ります。
遊びの場面の例もいくつかあります。
休日の公園で、親子が交代で飛ばしてみます。
祖父母が先に回して見せ、孫が同じ動きを真似します。
兄弟姉妹がいる家庭なら、拾う役と飛ばす役を交代します。
拾う役がいると、飛ばす人は落ち方を落ち着いて観察できます。
観察の時間が増えると、自然と工夫につながります。
家の中で過ごす日が多い場合は、作るところだけを室内で行う形もあります。
竹の代わりに紙やストローで形を試し、外で竹を飛ばすのは別の日にします。
「今日は作る日」「次は飛ばす日」と分けると、無理なく取り入れられます。
年齢別の遊び方
幼児向け
幼児の場合は、作るところは大人が行います。
子どもは飛ばすところだけを楽しみます。
短い軸で、軽く回すだけでも十分です。
高く飛ばすことより、回す動きを楽しみます。
うまく飛ばなくても、回せたことを大切にします。
手を添えながら、一緒に回してもかまいません。
安心できる距離で見守ります。
成功体験を重ねることを大切にします。
幼児は、回す動き自体が難しいことがあります。
その場合は、両手で軸をはさむことにこだわらなくても大丈夫です。
大人が上からそっと手を重ねて、一緒に回すだけでも遊びになります。
飛ばしたあとに一緒に拾いに行くことも、遊びの大切な部分です。
「飛んだね」「回ったね」と、事実を短く伝える声かけが向いています。
幼児は安全の範囲が狭いので、場所選びが特に大切です。
人が多い公園ではなく、見通しのよい広場や端のスペースが安心です。
飛ぶ方向を固定し、大人が立つ位置も決めておくと落ち着きます。
小学生低学年向け
回す動きを自分で覚えていきます。
最初は安定しなくても、少しずつ上達します。
飛んだ高さよりも、まっすぐ飛んだかを見るようにします。
失敗しても、すぐにやり直せるのがよいところです。
大人は口出ししすぎず、見守る姿勢を大切にします。
声をかけるときは、できた点に目を向けます。
友だちと一緒に遊ぶことで、刺激を受けることもあります。
低学年は、「回せた」「飛んだ」という達成感が強い時期です。
そのため、まずは飛ぶ体験を多くします。
飛び方が曲がっても、最初は否定しないほうが続きます。
次の段階で、「今のは右に行ったね」と現象を一緒に確認します。
「どうしたら真ん中に行くかな」と、考える方向だけを示します。
低学年は、友だちの成功を見て焦ることもあります。
そのときは「昨日より回せたね」「前より遠くまで見られたね」と、自分の変化を言葉にします。
比べる対象を友だちではなく、昨日の自分に戻してあげます。
小学生高学年向け
羽の形や角度を工夫します。
どのくらいの長さがよいかを考えます。
どうすると長く飛ぶのかを試すようになります。
回転の速さや、飛んでいる時間にも目を向けます。
友だち同士で見せ合い、教え合う場面も増えます。
競争よりも工夫を楽しむ声かけが向いています。
理由を考える力が育ちます。
簡単な記録を取って比べるのも一つの方法です。
高学年になると、「なぜそうなるのか」を考え始めます。
この時期は、遊びが理科の入り口にもなります。
回転が速いと安定しやすいこと。
左右が違うとぶれること。
風があると落ち方が変わること。
こうした気づきを、子ども自身が言葉にできるようになります。
記録を取るときは、難しい表にしなくても大丈夫です。
「今日は3回のうち2回まっすぐ飛んだ」のような簡単なメモで十分です。
数を増やすことが目的になると苦しくなるので、気づきを残すための記録にします。
高学年は、作る工程にも興味が出やすい時期です。
刃物を使う作業は大人が中心になりますが、子どもが「どこを削るか」を考える役になれます。
「左右を見比べる」「角を丸くする」「持ちやすさを試す」といった安全な範囲の作業は参加しやすいです。
無理をしない工夫
うまく飛ばなくても、急がせないことが大切です。
何度も続けると、手が疲れることがあります。
集中が切れたら、いったん休みます。
疲れたら休み、また別の日に続けます。
できたところを認めながら、少しずつ進めます。
比べるのではなく、それぞれのペースを大切にします。
楽しい気持ちを優先します。
遊びが義務にならないよう配慮します。
ここでは、家庭や学校で続けやすくするための「終わり方」も補足します。
昔遊びは、終わり方が上手だと次につながります。
中途半端に切り上げると、子どもは不満が残ります。
逆に、疲れ切るまで続けると、次の日に気が向きません。
「最後は一回だけ飛ばして終わろう」のように区切りを作ります。
区切りを作ると、子どもは安心して遊びを終えられます。
上達のペースにも個人差があります。
回す動きが得意な子もいれば、観察が得意な子もいます。
どちらも大切な力です。
観察が得意な子に「見ていてくれて助かる」と声をかけると、役割が生まれます。
遊びの中で役割が生まれると、集団でも続けやすくなります。
安全に遊ぶためのポイント

刃物を使うときは、必ず大人が行います。
なぜ危ないのかを、子どもにもやさしく伝えます。
見せるだけでも、十分な学びになります。
飛ばすときは、人に向けないようにします。
近くに人がいると、思わぬ方向に飛ぶことがあります。
室内ではなく、広い場所で遊ぶようにします。
屋外でも、まわりを確認してから始めます。
風が強い日は、思った方向に飛ばないことがあります。
無理に飛ばさず、条件のよい日を選びます。
小さな子どもがいる場合は、そばで見守ります。
安全を守ることが、楽しい遊びにつながります。
安全面は、遊びの楽しさとセットで伝えるほうが受け入れられます。
注意だけを並べると、子どもは身構えてしまいます。
「安全にできると、安心して何回でも飛ばせるね」という言い方が向いています。
刃物の安全については、家庭や学校で特に差が出やすいところです。
大人が作る場合でも、子どもに近づけない工夫が必要です。
作業場所をテーブルの端ではなく中央にします。
刃先を人の方向に向けない姿勢を見せます。
作業が終わったら、刃物はすぐに片づけます。
子どもが「触ってみたい」と思う前に、視界から外します。
飛ばす場面の安全では、「拾うとき」が意外に危険になることがあります。
子どもは飛んだ方向に夢中で走り出すことがあります。
そのため、飛ばす場所と拾う場所を分けます。
順番を決めて、一人が飛ばしている間は他の子は動かないようにします。
難しいルールにする必要はありません。
「飛ばす人の後ろに立つ」という約束だけでも、事故は減らせます。
また、風の強い日は思わぬ場所に飛びます。
強い風の日は飛ばさない判断も大切です。
風を読むことも学びになりますが、安全の範囲で行います。
この遊びの良さ
竹とんぼは、手先をよく使う遊びです。
指や手の動きが自然と身につきます。
回す力や、力の加減を体で覚えられます。
集中する時間が生まれ、心が落ち着きます。
静かな時間の中で、自分と向き合えます。
うまくいかない経験も、大切な学びになります。
すぐに結果が出ないことを受け止められます。
一緒に作ることで、会話も増えます。
世代をこえて、同じ遊びを楽しめます。
人との関わりが、自然に生まれます。
ここでは、家庭・学校・地域それぞれで感じやすい「良さ」を補足します。
家庭では、短い時間でも親子の会話が生まれやすい点が良さです。
テレビやゲームと違い、同じ方向を見ながら言葉が出ます。
「今の回り方きれいだったね」のように、すぐ共有できます。
共有が積み重なると、親子の安心感につながります。
学校では、子ども同士の関わりが自然に生まれます。
うまい子が教えるという形だけではありません。
見てまねる子がいて、拾ってくれる子がいて、待つ子がいます。
それぞれの関わりが場を作ります。
役割が固定されすぎないのも、昔遊びの特徴です。
誰でも飛ばす側にも、支える側にもなれます。
地域では、世代が混ざりやすいことが良さになります。
祖父母世代は、体を激しく動かさなくても関われます。
手の動きや見守りで、十分に参加できます。
子どもは年上の人の動きを見て、自然に丁寧さを学びます。
「静かに教える時間」が生まれるのは、竹とんぼらしい良さです。
教育的・文化的な視点

昔の遊びは、身の回りのものを大切に使う知恵が詰まっています。
竹とんぼも、自然と向き合う中で生まれました。
材料の性質を感じながら、手を動かします。
今の時代とは遊び方が違いますが、学べることは変わりません。
試して考え、またやってみる流れがあります。
結果よりも過程を大切にできる遊びです。
学校や家庭でも、取り入れやすい昔遊びの一つです。
世代をつなぐ教材としても活用できます。
理科や図工の入り口として扱うこともできます。
教育の場での活用を考えるときは、「教科のため」だけにしないことが大切です。
昔遊びは、学びがあとから付いてくる形が向いています。
まずは遊びとして楽しむことが土台になります。
楽しさがあると、子どもは自然に観察し、考えます。
例えば、理科の入り口としては次のような見方ができます。
回転が安定すると、まっすぐ飛びやすいことに気づきます。
左右の羽が違うと、曲がることに気づきます。
風の向きで落ち方が変わることに気づきます。
これらは難しい説明をしなくても、体験から得られます。
図工の入り口としては、「形をそろえる」「角を丸める」「持ちやすさを考える」といった視点があります。
完成品の見た目だけでなく、使う人のことを考える体験になります。
「痛くないように丸くする」という工夫は、相手への配慮にもつながります。
文化的な視点では、竹とんぼは「身近な自然と暮らし」のつながりを思い出させてくれます。
竹は成長が早く、地域によっては管理が必要な植物でもあります。
昔は竹が生活の中で活かされ、子どもの遊びにもなりました。
今は竹に触れる機会が減っているため、遊びを通じて素材の感覚を取り戻せます。
親・祖父母・先生の関わり方
竹とんぼは、教え込みよりも、そばで一緒に試す関わり方が合います。
大人が正解を言いすぎると、子どもの観察が止まりやすくなります。
そのため、声かけは「評価」より「気づき」に寄せると安心です。
そして、できたことを小さく認める積み重ねが、続ける力になります。
- 「今のは回っている時間が長かったね。」
回転の変化に目を向けさせる声かけです。 - 「放したあと、どこに飛んだか見られたね。」
観察できたことを認める声かけです。 - 「さっきより手の動きがゆっくりになったね。」
力加減の変化を言葉にする声かけです。 - 「今日は風があるから、右に流れやすいね。」
環境を一緒に見る声かけです。 - 「もう一回やってみる?」
続けるかどうかの主導権を子どもに戻す声かけです。
先生の立場では、全員に同じ結果を求めないことが重要になります。
「高く飛ばす」だけを目標にすると、得意な子だけが前に出ます。
「回転が見えた」「まっすぐ飛んだ」「拾うときに周りを見た」といった複数の目標を用意します。
複数の目標があると、いろいろな子が参加しやすくなります。
祖父母の立場では、長く立っていなくても関われる点が良さになります。
座って見守りながら、「今の回り方きれいだね」と伝えられます。
昔の思い出を話すときも、説教にならないよう短く添えるのが向いています。
「昔も夕方に飛ばしたよ」くらいで十分です。
子どもが興味を示したら、そこから広がっていきます。
よくある困りごとと工夫
竹とんぼは単純ですが、実際の場では小さな困りごとが起きます。
事前に知っておくと、家庭や学校で落ち着いて対応できます。
- 飛ばしたあと、どこに落ちたか分からなくなることがあります。
明るい場所で行い、落ちる範囲を決めると安心です。 - 草むらに入って見失うことがあります。
草の少ない場所を選び、飛ばす方向を固定します。 - 人が通る場所で始めてしまうことがあります。
始める前に「ここからここまで」と場所を確認します。 - 順番が守れずに混乱することがあります。
「飛ばす人の後ろに並ぶ」だけの簡単な約束にします。 - うまい子が独占してしまうことがあります。
回数を決めて交代し、「拾う係」など役割を作ります。
こうした工夫は、遊びを管理するためではなく、安心して楽しむための工夫です。
安心できると、子どもは落ち着いて手の感覚に向き合えます。
まとめ
竹の香りと、回転する羽が空にのぼる瞬間。
それだけで、心が静かに整う時間が生まれます。
竹とんぼは、親子や祖父母と孫をつなぐやさしい遊びです。
高く飛ばすことだけが目的ではありません。
作る時間、飛ばす時間、そのすべてが大切です。
思うようにいかない時間も、遊びの一部です。
一緒に作り、一緒に飛ばす時間そのものが思い出になります。
むずかしく考えず、できるところから始めてください。
そばで見守り、気づきを言葉にして進めると安心です。
ゆっくりとした時間の中で、昔遊びのよさを感じていただけたらと思います。
